Earthworks Q&A




Q.
 一つ質問ですが、本文中にある「大半のマイクが時間軸に大して歪んでいる」と言うのは、ダイヤフラムが音の振動をいつまでも引きずっている、つまりパルスなどのほんの短い時間で発生した信号を拾った場合を例にとると、ダイヤフラムの物理的な余韻が音が鳴り終わった後まで続く、これがすべての連続した音に対しても発生するので本来の純粋な音によるダイヤフラムの振動と、物理的な余韻の振動が混ざりあってマイクから出力されると理解して良いでしょうか。


A.
 その通りです。理想的には、入力波形と出力波形が相似であれば、全く色付けの無い正確な再生といえます。またそれが変換機としてのマイクの理想像でしょう。さらに耳で聴いても良い音である、というのがEarthworksの基本的なコンセプトです。どのメーカーもこの理想を追求して止まない訳ですが、現実には、機械的、物理的、電気的な制約によって妥協をせざるを得ません。録音の規格がやがて24bit/96KHzが主流になろうとする今、より正確でクリアなマイクが求められています。

その点でEarthworksはどれよりも物理特性が優れたマイクを作ることで答え提示し、新時代に向け成功を収めているといえるでしょう。ご質問のインパルス応答に関して言えば著名なB+Kのマイクよりも正確です。先ず非常に波長が短かく山が高いパルスを例にとって見ると、立ち上がりの遅いマイク、例えば今はやりの大口径ダイヤフラムをもつ真空管式マイクは明らかに不利です。柔らかい音はするかもしれませんがハイエンドの情報が失われる為クリアでは有りません。入力波形と出力波形を比べれば明らかに違います。この様な非常に波長が短かく山が高いパルスに対するEarthworksのレスポンスは非常に高速です。またご指摘のようにリンギングと呼ばれる寄生振動も非常に早く収まります。(アスト様や弊社のホームページに掲載のグラフをご覧下さい)

 このリンギングが大きくいつまでも消えないと、単発のパルス波形が歪むばかりでなく、後続の入力波形全てに加えられてしまいます。音波は干渉性(コヒーレント)があるため、リンギングによる不要な成分と後続の波形とが互いに干渉し、複雑に原波形を歪めてしまいます。当然レベルが小さく周波数が高い信号ほど影響は大きくなります。これは聴感上は音のにごり、不明瞭さ、定位がボケるといった形で影響を表します。市場で評価の高いQTC1というモデルがアンビエントの集音能力に優れているのも、この様な微小なレベルの信号が汚染されない為だと考えられます。
 この歪はリンギングだけで生じるのではなく、マイクの物理的な構造、形状によっても生じます。

 例えば楽器の音のように複雑な周波数スペクトルを有する信号がマイクに入力された時、特定の周波数がダイヤフラムへ到達するタイミング(位相)が他の周波数より早過ぎたり遅かったりすれば入力波形と出力波形は同じにはなりません。こうした要因を含めて時間軸(タイムコヒーレント)に対する正確性を追求することの重要性を主張しています。
 さらに楽器のスペクトルが、本来人間には聞こえないとされている可聴範囲を超えた領域にまで及んでおり、この領域での変化を人間は音色として識別できる点に注目しています。20KHzで帯域を限定したCDの音が必ずしも良くないという感覚的な疑問と、昨今のハイサンプリングやスーパーCDに寄せられる期待も、本来有るスペクトルを無視した点に理由があると考えられています。したがって今後のデジタル新規格にとって楽器のスペクトルを余さず捕らえることができるマイクは無くてはならないものでしょう。

Earthworksでは、小型のダイヤフラムを採用することによって、周波数特性を可能な限り広くとると共にパルスの応答を改善し、微弱で人間の可聴帯域を超えた信号の再現を狙っています。この様な努力の積み重ねによって、Earthworksのマイクは既存のマイクと比較し極めて時間軸(タイムドメイン)の歪が改善されております。微弱な信号の集音力と明瞭度が高いのもうなずけます。

 以上の理由から、測定用のマイクに関しても正確性を追求した結果、波形の分析には信頼性が極めて高いと自信を持ってお勧めできます。

 長くなりましたが、技術的な点を中心にご説明致しました。

From:
"植田ゆたか" <brightentune@aaa.mail.letter.co.jp>


 上記の内容は、名古屋の植田さんがトモカ電気の飯島さんに質問した内容です。(植田さんからのメールから抜粋しました。)
 余談ですが、この前、SMAARTの講習会の時ですが、SMAARTの測定の際、どうして測定用のマイクではなければいけないのでしょうか?と言う質問がありました。講習会では、実際にAKGの414などのマイクをSMAARTを使って測定しました。(B&Kのマイクとの比較)その結果F特性では414も良い結果を示していましたが、位相では、まるでB&Kのマイクとでは違っていたのです。ただ単に、F特性だけを重要視するのではなく、位相の問題が重要なのだと言うことが理解をしていただけたのです。(質問の内容の中にこんな事もありました。測定マイク以外のマイクでもF特性を補正すれば、十分測定用のマイクでも使えるのではないか?)
 もう一度、SMAARTなどを使って音場補正をする意味を考えてみてください。
 またまた余談ですが、、、
 あるアメリカの文献でこんな内容のデータを見たことがあります。それは、都会と森林地帯での周波数分布です。都会では100kHz以上の周波数分布が森林地帯と比較して圧倒的に少ないのです。(つまり、森林地帯の方が100kHz以上の音が都会と比べて圧倒的に多い。)これは何を意味しているのでしょうか?
 はっきりとした事ではないですが、都会の中にいるより、森林の中にいる方が心が落ち着く。(人によっては都会の方が落ち着くという人がいるかも?)文献ではそのような関係付けをしていました。
 私自身、レコードとCDを比べたら、レコードの方が音楽的な部分では良い部分があると思います。(レコードには100kHz以上の周波数が含まれている。)これも関係するのではないでしょうか?皆さんはどう思われますか?

 余談話ばかりで申し訳ありませんでした。

 また、このような内容の質問等を頂ければ幸いです。

 有難うございました。
 最後になりましたが、トモカ電気株式会社の飯嶋さんに感謝いたします。


上記の貴重な資料は、トモカ電気株式会社 飯嶋からの提供です。

デモ等の要望は、飯嶋さんへ連絡をお願いします。
 その際には、レポートを頂ければ幸いです。より多くの人達に紹介を致します。

貴重な文献に対して感謝いたします。有り難うございます。




資料提供先

トモカ電気株式会社 担当 飯嶋氏
〒101-0021 東京都千代田区外神田1-15-16 ラジオ会館6F TEL 03-3253-6528 FAX 03-3253-6519
トモカ電気株式会社 HomePage:http://www.tomoca.co.jp/
E-Mail:Iijima@tomoca.co.jp


Earthworks,inc. HomePage:http://www.earthwks.com/


**質問、感想等が有りましたら、BBS Board もしくは、

                  こちらへast@ast-osk.comまでお願いいたします。**


Back


Copyright(c) 1998-2001 AST Inc. All Rights Reserved.