L-Acoustics ARCS+SB218 Data


**前説**

 去る、9/29,30両日、大阪厚生年金大ホールにて、L-Acoustics社のARCS+SB218のSPを使用する機会があり、レポートをさせていただきます。少しでも皆さんの参考になればと思います。

**測定条件**

System
4*ARCS+2*SB218(マウントは、下記の図を参考)
XTA Electronics DP226
AMP Amcron MA-3600VZ

測定器
Meyer SIM II System
Mic:B&K 4007(Mic位置は、下図の左から3本目のARCSのホーンの高さです。距離は、約3.8m離れた位置です。)



スピーカーマウント図面

**SIM Data**

Normal(4*ARCS+2*SB218)
 全くのノーマルのデータです。

ただし、無響音室での測定では無いので、建物の影響等が有ることも考慮をしてください。
1k,3k付近での落ち込みは、ホーン同士の干渉か?どうかは、時間が無く、追求が出来ていません。
3k付近に関しては、約10cmほど位相がずれていることが伺えます。

**ARCSのクロスの周波数は、800Hz,SB218のクロスの周波数は、100Hzです。**

Normal+Hi 2dB up
NormalデータとHiを2dB upしたデータです。

ARCSの設定モードでは、ARCS Hi と ARCS Loモードが有るみたいで、ARCS Hiは、HFを4dB upしたモードで、ARCS Loモードは、Normalだそうです。
 今回は、ARCS Loモードより、セッティングをし、HFを2dB upした方が結果が良かったので、この設定に決定しました。
 ARCS Hi,ARCS Loモード セッティングに関しては、音楽ジャンル等によるユーザーのチョイスにより、決定されるものだとの事です。(ベステックオーディオより)

Normal+Sub Lo
NormalとSub Loのデータです。

Sub Loが何処まで、延びているかを確認していただければと思います。
クロスが100Hzで見事にクロスしていることが、伺えます。

Normal+Mid Low
NormalとMid Lowのデータです。

左記のSub Loのデータと逢わして、帯域が何処まで延びているかの確認をしてください。
600Hz付近が、少し盛り上がっている点に注目です。

Normal+Mid Low&Sub Lo Reverse
NormalとMid Low&Sub Loをリバースしたデータです。

800Hz付近が埋まり、600Hzがスムーズに成ったことが、伺えます。
また、位相が、HFからMidFまで、揃っています。
データからの判断では、この方が位相的及び周波数特性的にもNormaruより、良い結果です。
では、実際的にはどうでしょう?
結果は、Normalの方が良いです。(私自身の意見です。)
実際にSM58を使用し、Normalとリバースとの比較をしてみました。
Normalの方がVacalの繋がりがよい結果でした。これは、測定結果を重要視せず、ヒヤリングを重要視した結果だと判断します。(L-Acousticsの開発意図)
 SIMなどの測定器に関わらず、ヒヤリングを重要視する意図は、
例えば、一つのシステムで、測定をし、その結果とそのシステムのアンプだけを変えて、測定をした結果は、ほとんど同じです。(アンプの特性によって異なりますが、一応プロ使用のアンプでは一定の特性を維持している。)
 これはどういう事なのでっしょうか?
実際のヒヤリングでは、アンプを変えることで、音は変わります。
しかし、測定器の世界では、一定の特性を維持していれば、結果は同じなのです。変わっては測定器として、機能しません。
 上記の事柄を考慮して、測定結果を判断し、より良い音場補正に心がけてください。
 私的な意見でしたが、もし、ARCSのシステムをお持ちの方々は、実験をしてみてください。
また、実験結果を報告していただければ、うれしいのですが、、、

Normal(SPより約3.8mでの測定)+Normal(SPより約15.5mでの測定)
NormalとNormalでの測定位置から約11.7m離れたところとのデータです。

130Hz付近のディップは、壁の影響です。(コヒレントが悪い。)
Hiが、落ちているのがお解りになると思います。(測定場所は、大阪厚年大ホールの前列の客席位置です。)
こちらの方が、近距離より、まだHiの繋がりがスムーズです。(ヒヤリングでは、、、)
書き忘れましたが、Normal状態で、Hiの特性を10kHzを中心に延ばしているのは、ホーンEQ補正をしているためだそうです。(ベステックオーディオより)


**総論**

 今回は、L-Acoustics社のARCS+SB218のSPを使用する機会に恵まれ、レポートする事が出来ました。
関係各社の方々には、感謝いたします。

 測定結果に関しては、時間が無く、より細かく測定できなかったのが断念です。
 ですが、ARCSをお持ちの方及びARCSに興味をお持ちの方の参考になればと思います。

今回、ARCSをチョイスした大きな要因は、(大阪厚生年金の場合、) 2階及び3階席以上のエリアを1つのSystemでスムーズにカバーするのが、理由です。そう言う意味では、大成功です。3階席以上の最後部でも問題なく、ヴォーカルが聞こえていました。(これは余談ですが、関係者から、今回はSPに何をしたのですか?と聴かれました。)

 このSystemは、基本的には非常に良いSystemだと思います。まだまだ、発展途上にあるSystemですが、今後のバージョンアップに期待をしたいです。

P.S.
今回使用して、気付いた点は、200~250Hz近辺のEQコントロールが、ポイントです。また、Sub Loの帯域が、100Hzクロスの関係上、指向性を持っているので、Sub Loのマウント位置が重要になってきます。今回の年金の場合、どうしても中央列、前席付近がLoが溜まるため、下から2本目のSB218を小割で、上に煽りました。結果は、一番後ろのミキサーポイントまで、スムーズに成りました。
 上部のSPマウント図から見ていただければ、お解りでしょうが、大阪年金の場合、ステージからのマウントとなります。このSPの高さでは、ホーン位置が少し低くいので、この後のフェスティバルホールでは、フェスのSP台の上に上記のマウントをしました。ホールは違いますが、この方が良い結果になると思います。(フェスでは、問題がありませんでした。)ロケーションに逢わして、マウント方法を考えて見てください。

 これからも機会がありましたら、レポートしたいと思います。

 ご質問やご意見または、ご感想などをお聞かせいただければ、幸いです。
又、現場からの情報も頂ければ、幸いです。宜しくお願いいたします。

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ベステックオーディオ株式会社
〒130 東京都墨田区緑4丁目25−5 TEL03−5600−3685 FAX03−5600−3687


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