L-Acoustics ARCS Report No.1



* L-Acoustics ARCS所有者からのレポートです。*
* 初回のReportは京都のRUY Soundの武村氏からです。**


L.Acoustic ARCS UserのRUY Sound Service inc.,武村と申します。
どこのSR COMPANYもMain System入れ替え時期を迎え機種の選定に苦慮されていると思います。
ご参考になればと思い、AST 角氏からの依頼もありL.Acoustic ARCS 導入への経緯、と使用感想をまとめてみました。

L.Acoustic ARCS 導入への経緯

 当社では、Main Systemとして永年Turbo Sound TMS-3MEYER UPA,MSL-3 TOA Z-DRIVE F1/L1, F5/L5を内容に応じて使い分けてきました。

バンドのライブ感を優先する時は、TURBO TMS-3,
音質優先の時は MEYER UPA,MSL,
音圧感優先の時とスピ−チ拡声はZ-DRIVEと言うような使い分けになっていました。
感じは皆さん御理解いただけると思います。

実際、1社で内容に合わせたBESTなSYSTEMを
各種保有することは財政的にも難しいことだと理解します。
会社を経営為さっている方達にとっては、何にでも使える万能のSYSTEMはない物かとお考えになると思います。
実際、そんなSYSTEMがあれば、バカ売れしてたでしょう。
また、オペをする立場からは,会社保有の機種を、ジャンルの別なく、つかわされるのも非常に辛い物です。
私は、個人的には得意ジャンルは、HEAVY METALと邦楽、弦楽アンサンブルとオペラ(と言っても市民オペラクラス)式典関係とハチャめちゃです。
HEAVY METALはもう50歳を迎えた私には、お声はかかりませんが、あのライブ感は、忘れられませんネ−。
東京ド−ムも、大阪ド−ムも経験し、システムプランの大事さと、機種選択の難しさも知りました。
最近、はやりのSIMMだ、FFT,TEF SmaartだのTUNINGも役には立ちますが、それ以前のSYSTEMの選択が非常に重要であることを痛感します。

私の、持論として使う側に特別なテクニックや、制約を強要するシステムはまだ、未完成だと思います。

TURBO もMEYERもZ−DRIVEもそれなりに使えてましたが、どの、システムもサ-ビスエリア内の均一音圧、音質と言う点からは複雑なシステム構成、物量、セッティング等の制約と別の問題が出てきます。
その解決策として、FFTによるTuninng Technology の進歩があったと思います。
でも、どんなイベントでもTuninng に掛ける、物量、人件、費用と時間が確保出来るものでしょうか?

そんな、ジレンマのなか、少ない機材量で、簡単なセッティングでサ−ビスエリア内をできるだけ均一に(コヒ−レンスのとれた)自分の思い通りにコントロ−ルできるシステムがないものかと、必死で情報を集めておりました。

X-ARRAY,FlashLight,JBL HLA,MEYER MSL-6,APOGEE AE-8,TOA新規開発といろいろ模索しましたが、地方のPA屋では全く相手にされませんでした
ひどいところは、うちは高いですからと見積もり書すら送ってきません、デンハで能書き一杯聞かされて...。

TOAは非常に協力関係にありますので何でもしますと言ってくれますが3年は待てません。(ごめんなさい吉田君)

そんな折り、一昨年の夏に心筋梗塞を2度起こし2ヶ月の入院生活を送っていた時に突然、旧知のBESTEC AUDIOの藤原氏が病室を訪ねてきました。お見舞いの言葉もそこそこに,とうとうとL.Acoustic のSPのことを1時間以上も興奮ぎみに話して帰りました。
英文の資料も置いて帰りました。
時間を持て余していたので、シコシコと電子辞書片手に翻訳し読み込んでいく内に、自分の求めているものにかなり近いと思いはじめ、欲しい欲しい病がでだしました。
それからは、V-DOSCが人生の目標にまでなりました。
でも、いろいろ交渉した結果、現時点ではARCSがBESTな選択と思い10月に導入を決定しました。

それでは、本題のARCS使用感想記に入りましょう。
導入以来、会館仕事、屋外仕事等で使用しましたが、
昨年、象徴的な仕事のパタ−ンがありました。

同じ会館で、1週間置いてARCSとMEYERのSYSTEMを使うと言う機会に恵まれました。

会館は、2500人キャパ。3Fあり。2階席迫り出しあり。ステ−ジ前端から客席(1F)最後方(オペ位置まで40m)舞台間口10間強、片方はオケピ使用ありです。

内容は、生演奏あり、WLあり、ミュ−ジカル風ありの国民文化祭形式の物と、コンボバンド+ソロ、合唱+ブラスオ−ケストラ+ さだまさし(AcG 東理男)という編成のWL(ハンド+PIN)使用、収録ありの内容でした。
どこの地方でもよくあるパタ−ンでしょう。

SYSTEMは、Front SP ARCS+SB218 3/2の上に3階席向けに横置き1本AMP AMCROWN 5000-VZ,P.E.Q INTER AEF-1, MIX PM-3000
もう一方は、
Front SP MSL-4 /650P 3/2+2階席向けにUM-1x2本+中ぬけにUM-1 x1(イントレ1段使用)AMP YAMAHA PC-5500,2002LD-1 +PEQ ATL DCP-10、 DN-360MIX PM-4000
とどちらも標準的な仕込みパタ−ンです。
WLはどちらも会館のRAMSAを使用。

MEYER システムの時は、Setupから時間があったのと、
過去に同じホ−ルで使っているので問題点は、把握できてました。
予想通り、MSL-4 3対向では、間口10間はDEAD AREAが出てきます。
客席最前列から4列が全くカバ−出来ません。
おまけに、オペ位置の高さを考え、高さを(イントレで)かせぐと前10列まで音が薄くなります。(UM-1 1本では苦しい)。2階席ねらいのUM-1 x2は2階席前列から5列までが限度で両翼にあるバルコニ−には全く音が行かない。2階席ねらいのUMの音量バランスをあげると、反射音で1階席にも悪影響が出てきます。LD-1で最小限にとめましたが
遠達性に限度があり厳しい状況です。3階席には、全く届かず。無視しかありません。
1階席も、MainのMSL-4と中ぬけのUMのレベル調整と音質調整に
時間をとられました。構造の違うSPが混在すると厄介です。
それと、MSL-4のFrontの開き角度を調整してもやはりエリア内を均一音場にするのは、結構難しい。
この時は、オペのサポ−トという立場だったのでSPマウントでの逃げに終始してしまいました。
MEYERを買うとSIMMとかついてくるのでしょうか?
最終的にFFTは必要になるでしょうが...。

ARCSシステムの時は、内容が多彩で、仕込みWL多用で仕込み半日、リハ1日半と言う強行スケでした。

仕込み終了と同時に、演出家の"WLのチェック行こうか"の声チョットまてよ、SYSTEM TUNINGまだやってないよ。
リハ時間ないのでいきますとのこと。仕方なくミュ−ジカル部分の素人WLーPINNのCHECKがはじまった。
"やばいと"思いつつNON.EQでChannelのLPFだけでスタ−トフェダ−を一斉にあげると、先ほどの演出家の58のガナリよりも数段のヌケでガンガンくる、くる。
今回は楽勝を予感して、NON EQのまま、リハ続行。
会場の状況を聞き廻りながら、ぼちぼち、PARA EQをチョコチョコ、余裕が出てきたので、2階、3階のチェック 2階席は、MIDがだぶつくものの、最奥部までハイエンドまで、シャキット聞
こえてる。
上アオリの一本の効果かなぁ−と思いつつ、3階席へ
3階席は、低音が少し減衰してるくらいで音質的には BEST.
上アオリの1本は確実に3階席の奥まで届いている。
実際、最深部の母子室のなかで芝居のセリフがハッキリ分かる。
2階席にだぶっているのを避けるためアオリ角を増やす。
今度は2階席もスッキリした。(切れのいいSPだ。)
長時間のリハも終わり、本番に流れ込み、無事終了。
邦楽あり、ミュ−ジカル風あり、ダンスパフォ−マンスあり、ブラスオ−ケストラあり、 なんでもありのイベントに対処できたのも、ARCSのおかげだとおもいます。

また、長時間のオペを一人でやりとげた、
ライフ総合舞台の津村哲治氏に拍手を送りたいと思います。
私にとっても、最近になく充実した仕事でした。

このSPはなんなんだ。SUB LOW 2本の上に単純に3本置いただけでホ−ン上方角度45’の恩恵でオペ位置は勿論、2階席まで確実にカバ−出来てる。このホ−ルに関しては完璧だと確信しました。

ただ、ARCS3本約70’で、50列から60列ある会場では、両側2列位は、犠牲になります。それを我慢すれば、壁からの反射音も感じられず、スッキリします。(これはどんなシステムを使う時も鉄則ですよね。)
それと、レザ−ポインタは絶対必需です。
これで、SP側面から当てて、カバ−出来てる範囲内は絶対安心です。

それと、特出した長所は、SP 直近でも全くうるさくありません。ですから、内振り、外振りでレベルを変えたりはしていません。
このへんは、まだ検証が十分ではありません。(使用回数が少ないため。)
でも、V-DOSCを50cm位置で聞いた時も全くうるさくなく、MSL-5で、鼓膜がビビリまくるようなこともありません。
全く、違う鳴り方のSPなんだと理解しました。

距離二倍で−6dBの常識を撃ち破ったシステムを実感してます。
これだけは、なん百回話し聞いても、体験するまで分かりません。
本当に、非常識なシステムです。
その後、神戸ワ−ルドで、V-DOSC +ARCSを使う機会があったのですが、やっぱり、V-DOSCはスゴイ、言葉では言えないスゴサ。
V-DOSC 欲しい病が再発しそうです。でも買えない。
買える時期がくるまで、ARCSでがんばるぞ。


ここまでが、使用感想です。
こう書いてくると、ARCSが万能なSPの様ですが、決してそうではありません。
ARCS にも欠点はきっとあると思います。(まだ、きずいてないだけかも。)

MEYER好きの人には、あの音でないとダメだと思うし、それを否定するつもりは私にはありません。私自信、MEYERを15年近く使って、長所も短所も知っている
つもりです。内容によってはMEYERを選択することもまだあると思います。

ただ、私が、望む簡単セッティング、イ−ジ−チュ−ニング、均一なコヒ−レンス性能,コストパフォ−マンスと音色的に私が、やりたいオペラ、弦楽、邦楽、とマッチするとの総合的な判断からARCSを選択しました。
HEAVY METALにはやっぱり TURBOを選択するでしょう。
(でも、VAN HALEN L.Aco 使ってたんだ。私には分かりません。フ−さん秘密を教えて。)
使う度に、判断が間違っていなかったと実感しています。

私は、BESTECのまわし者でも、なんでもありません、
どちらかと言うと、いい悪い、好き嫌いをハッキリ言う方でそれが原因で、25年前に楽器業界を追放になった人間です。
このポリシ−は一生かわらないと思います。
それでもつき合ってくれるメ−カ−さんとだけつき合っていきたいと思います。

特に、TOAサンには、いつも辛口の意見ばかりですいません。
でもいつも真剣に聞いていただけるので今後とも協力していい製品造りにお役に立ちたいと思っています。
輸入品については、代理店の考え方と、方針で製品がどんなに良くても正しく、紹介されていないのが残念です。

文章にするのが苦手で、思いの半分もかけてないと思いますが、
この感想文、使用レポ−トに対する意見、感想、質問等あればどんどん送って下さい。DEMO希望の方には、条件があえばお伺いします。

E-Mail ID: PGA01264@nifty.ne.jp 武村良裕



 L-Acoustics ARCSの貴重なレポートを頂き有難うございました。

RUY Soundの武村氏の意向により、頂いたレポートは何の手も加えず、全文掲載致しました。

これから、ARCSを購入される方やARCSに興味のある方の参考になればと思います。

また、L-Acousticsに関するレポートをお願いすると共にレポートが入り次第、掲載したいと思っています。




**質問、感想等が有りましたら、
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                  こちらへast@ast-osk.comまでお願いいたします。**


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