Earthworks特長とその使用法 No.2
逆二乗の法則...
音源から耳までの空間に、音を反射するような壁や進路を妨害するような障害物が無ければ、音源から遠ざかる程音の強さは急激に減衰します。逆に音源に近付くほど音は急激に強くなります。したがって狙った音源に近付くけばそれ以外の音は急激に小さくなります。この性質を応用すれば、狙った音と環境ノイズとのバランスを取るのが非常に簡単に行えます。例えば、その部屋の響きが良くなかったり、特有のクセがあるなら音源にマイクを近付けたほうが部屋の影響を低減できます。又、マイクヘの回り込みを減らそうと思うなら狙った音原にできるだけ近づけて下さい。マイクが近い程回り込みは驚くほど改善されます。この点無指向性マイクなら音源に近付けても近接効果を生じませんから安心して近接セッティングできるのが利点です。更にアースワークスのマイクは、耐入力が極めて大きいので通常のマイクよりも近付けることが出来ますし音が異常に大きい場合でもオーバーロードの心配はありません。もしウェットな音が希望なら、部屋とのバランスを考えてマイクを遠ざけて下さい。部屋の響きが良ければオフで狙うのも一興です。
指向性のあるマイクを音源から45cmくらい離してセットするとすれば、無指向性マイクなら15-20cm離してセットすれば回り込みは更に改善されるでしょう。
無指向性マイクの近接ワンポイント・セッティング...
一般に無指向性マイクをワンポイントでセットすると音像がボケルと信じられています。アースワークスのマイクを使うと他のマイクとは音像が違います。他の無指向性マイクとも違います。B+K4006sを当社のマイクと比べても大分違っているとの批評家の指摘もありました。一般に互いに近接させてセットした無指向性マイクからは、良くても広がった無指向性か非常に狭い音像しか得られないと思われています。アコースティックな楽器に近接セッティングする場合、一度試してみて欲しいのは、二本のペア・マイクの先端を互いに近接させ(近接ワンポイントのXYかまたは交差させ)セットする方法です。生ギターならサウンドボールから15-20cm離れた位置に、また楽器の種類を問わず小編成の、例えばドラムのオーバーヘッドとかボーカルでもかなり近接させペアでセットします。ヘッドフォンでモニターし、マイクが一本の場合との違いを比較してみて下さい。もし納得のゆく結果が得られないようでしたらご相談ください。
EQは必要か?....
アースワークス社のマイクのf特はフラットで正確ですから、どうしても避けたい問題、例えば低周波のランブル等が発生しない限りトラッキングの間はEQを使用しない方が特徴が発揮されます。トラッキングの最中にEQをかける必要があるとすれば、それは音源に問題があると考えられます。音源側で対策をしたほうが良いでしょう。EQをかけたければ録音したトラックに後から何時でもかけられますから。
ドラム録り....
アースワークス社のマイクは、オーバーヘッド/キックドラム/スネア/打楽器(クレーブ/カウベル/トライアングル/タンバリン等ほとんど全て)に対して良い結果が報告されています。特にオーバーヘッドやキックに好評を得ています。オーバーヘッドで使う場合、無指向性マイクの間隔を離してセットするのではなく近接ワンポイントを試してみて下さい。キック・ドラムは、フロント・ヘッドの穴の中なら何処でも0Kです。部屋が持つ響きの影響は、音源から離れるほど大きくなります。もし録音条件が良ければ、ドラム・キット全体は二本のアースワークス・マイクで拾い、スポット・マイクを使うのは特定の効果を上げる時だけにすることをお勧めします。
「最初、ドラムの正面約1mの場所にワンポイント・ステレオでアースワークスを立ててみたら、音の抜けが良くステレオ感も十分あって、個々のドラムはキックも含めて生に近いし細部も明瞭だった。でもロックのドラムとしては少々パンチ不足だ。そこでオーバーヘッドに使ったところ、急にパンチの効いた弾けるような抜けの良い音がとれ、しかもノイズマイクの必要を感じさせない位周囲の音も十分担えられていた。アルバムはこのセッティングで録ることにした。このマイクは自然に近い音がとれるので生のステレオ録音用に最適だと思う。キックドラムに使ったところ部屋を揺するような非常に重量感に溢れた音がとれるのでジャズやフュージョンに向いている。私が個人的に好んでよく使うAKGのD112のプロセッサをかけたようなロック向きの音とは違うが、どっちを選ぶかは好みの問題だろう。両方とも満足させたいと思うなら、例えばSM57をビーターに立て、アースワークスをドラムの中に突っ込んでミックスするのも試してみたい」..... by Jim Miller
「二本の無指向性マイクを直角に(約3m離れた位置に2時と10時の方向)セットした。もう一本太い音の真空管式マイクをシンバルの間に立てるのが、私がごれまで試した中で最も簡単で旨い方法だ。特に無指向性 TC30K が気に入った。何故ならこのマイクならドラムの周囲を歩き回って言い音がする場所を探し、そこヘマイクを立でるだけで済むからだ。もちろんこの方法だとマルチ録音はできないが、有名なドラマーの収録で困ったときなど近接マイクでは捉えられない雰囲気を録音できるので助かる。Z30X をオーバーヘッドでXYとシンバル上方の二通りで試してみた。リハーサル中には Z30X をスネアとキックに使ってみたが、これも良かった。特に印象に残ったのは回り込みとの分離の良さだった。」.._ by Kennedy Grey
「ドラムのオーバーヘッドとしてペアマイクを間隔を空けてセットしてみた。 QTC1 の音は私が普段使っているノイマンKM84とはずいぶん違っていた。左右に振った QTC1 のステレオ音像は定位が明瞭に決まった。最初に気が付いたのは回り込みの多さだった。それはオーバーヘッドマイクとは思えないほど低音も豊かに拾っていることも意味する。たった二本のオーバーヘッドでキックもバランス良く採れるのだ。これにもう一本(キックドラムに)加えたらもっと素晴らしいだろう。」..... by Dave Martin
生ギター....
非常に近接したオンから、遠く離れたオフまでどのセッティング位置でも大変良い結果が得られます。ペア・マイクを15-20cmの距離に近接ワンポイントでセッティングしてワクワクするような結果だったと話してくれた人達もいます。私が個人的に好きなのは、一本をフレットの上方に近接させピックや弦を拾い、もう一本をブリッジの下方にセットして低減を補う方法です。
「とてもクールなマイクだと思う。つい最近生ギター、ピアノ、ノイズマイクに使ってみたが大変気に入った。生ギターのサウンドボールに近づけたところ試聴した中ではベストマイクだった。近接効果の影響を受けるマイクのようなボケた音にはならなかった」.... by MusiCanvas Studios
「普段はAKG C414を30cmくらい離してギターを録っているのでアースワークスも同じようにやってみたが特に違いは感じられなかった。ところがサウンドホールから数インチのところまで近づけると、次第に音がクリアーになってきたかと思ったら突然豊かで活き活きとした音が飛び込んできた。私のTaylor 555 12 弦ギターが繊細で美しい音を奏で感動した。今まで近接効果の有るマイクでこういう音が録れたことはない。マーチンの6弦でも試したがボディの真正面にセットしても素晴らしく豊かで暖かい音が録れた。」.... by Jim Miller
「結局普段のマイクセッティングは変更するはめになった。普段はギターから約30cm離れた位置に一本をネックがボディと合体する辺りに、もう一本をブリッジの少し下にセットする。今回はアースワークスをギターのボディから約2.5cm 離れた第16 フレットの5cm下がった位置に一本、もうー本はアンビエントとして
電気ギター....
単純にアンプの前にセットするだけで0Kです。もし部屋の響きも必要ならアンプからマイクを遠ざけて下さい。逆に直接音をもっと多くして回り込みを減らしたいならマイクを近づければいいので簡単です。もし部屋の響きが良ければ、一本を近接させ、もう一本を離して部屋のアシビエントを拾いミックスする方法をお試し下さい。アンプを拡散板に向け、そこにマイクをセットする方法もお勧めします。ギターアンプの音は大変複雑ですからトランジェントが優れていなければ正確に再現されません。その点アースワークスのマイクは現実音を捉えることに適しています。
「Paul Reed Smith カスタム24をMESA/Boogieにつないで、マイクを12インチスピーカーの正面で近接させて立ててみた。僕はいつもその位置にSM57を立てる。ブルースのリフを演ってみたがアースワークスはSM57と同じようにパンチの効いた音が録れ、しかもセッティングはSM57よりも場所を選ばない。SM57だとスイートスポットに立てないとダメだがアースワークスは何処でも0kだった。更に4.5m離れた場所にもう一本立て、その音をミックスすると時間差が出て響きの豊かな音が録れた。」.... by Jim miller
電気べ一ス...
「Fendre Precision BassをPeavyにつないでアースワークスをスピーカーの正面に立て強いパーカッシヴな音を出してみたが、アースワークスはしっかり立ち上がりを捉えサンプルCDのソースに採用することにした」.... by Jim Millere
今回は、前回の続きで、無指向性マイク本来の良さを多くの人に理解をしていただく為に”その特長と使用例”と題して各楽器のマイク録りを紹介しています。少しでも参考になればと思います。
余談になりますが、、、
この原稿を編集しているときに電話があり、別の項目(このHPで)で書いたと思いますが、、、 何故、測定用のマイク(B&Kなど)でなく、一般的なマイク(AKG451など)で、Smaartを使い、音場補正をしてはいけないのか?(時間軸での問題があるから、、、) と言う質問がありました。その際、その音源としてピンクノイズ、ホワイトノイズの質問が問題となりました。と言うのは、"一体、ピンクノイズとホワイトノイズの違いは何なのでしょうか?"
下記にピンクノイズ、ホワイトノイズの定義と周波数軸(対数表示)での違いを書いておきます。参考にしてください。
ピンク・ノイズ (pink noise) ホワイトノイズに対する言葉で,シャーという連続した雑音をいう。(100-200Hzや200-400Hz,400-800Hzのようにオクターブ関係)で周波数区分をした場合、周波数に無関係に一定レベルによるようなノイズをピンクノイズと呼んでいる。広い帯域にわたってノイズがふくまれているので、聴感で評価したりする場合に便利に使用できる。 ホワイト・ノイズ (white noise)
シャーというノイズで、(たとえば100-200Hz,200-300Hz,300-400Hzというように)で区分したとき、広い周波数帯にわたって一定のレベルの信号(ノイズ)がふくまれたもの.ホワイトノイズを一定対数バンド幅で分析すると、3dB/octになる。
質問等に関しては、メールにて送っていただければと考えています。
また、基本的に質問等及び解答に関してはオープンにしたいと思いますので、、、
直接、トモカ電気株式会社さんに質問された事柄でもメールしていただければ、この場でオープンしたいと思います。ご協力をお願い致します。
次回予告 ピアノ...、他の弦楽器類...、ボーカル...、ジャズ,ポップスの生演奏...、クラシックの生録音...、等々です。
次回を楽しみに!!
上記の貴重な資料は、トモカ電気株式会社 飯嶋からの提供です。
デモ等の要望は、飯嶋さんへ連絡をお願いします。
貴重な文献に対して感謝いたします。有り難うございます。
Earthworks,inc. HomePage:http://www.earthwks.com/
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こちらへast@ast-osk.comまでお願いいたします。**
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