測定用Micの比較(B&K,Earthworks,AKG)
去る、2002年3月5日にSmaartLiveの講習会(?)をしました。その際に測定用のMic,3種(B&K 4007,Earthworks M-30,AKG C-451,C-414)をSIMにて、測定することになり、ここにその各データーを掲載します。(**AKG C-451は、単一指向、AKG C-414は、無指向ポジションです。**)
測定状況としては、部屋(倉庫)にMeyer UPA-1Pを置き、約2.4m離れた所に測定用のMicを設置し、SIMにて測定しています。
なお、下記の測定データーの周波数特性は、この部屋(倉庫)の特性であって、Mic自身の周波数特性では、ありません。
基準として、B&K 4007を設定しています。(B&K 4007の測定結果を基準として、各Micの比較をしています。)
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B&K 4007とEarthworks M-30
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Fig 1
B&K 4007とEarthworks M-30の比較が、Fig 1 です。
まず、位相特性を見てみましょう。
1.2KHz以下は、ほとんどB&K 4007と同じ特性を示しています。1.2KHz以上は、B&K 4007と比べて、遅くなっていることが分かります。(8.6KHZで、-62°違います。)
次は、周波数特性です。全帯域において、B&K 4007と比較して、ほぼ同じ特性をしていますが、B&K 4007より、全体的に約2dB高いのがお分かりになるでしょう?これは、B&K 4007との感度の違いだと思います。また、高域においては、位相の違いにより、若干の特性が変わってくると思いますが、なかなか良い結果の方だと思います。
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B&K 4007とAKG C-451
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Fig 2
B&K 4007とAKG C-451の比較が、Fig 2 です。
位相特性は、B&K 4007と較べると、500Hz付近から、遅れており、中高域である900Hzからは、進んでいます。これはどういう事かと言いますと、その上の周波数特性を見て頂ければ分かると思いますが、位相特性が合っている部分、合っていない部分の周波数特性が、変化していることにお気づきでしょうか?
位相が合っている500Hz付近から、900Hzの間は、B&K 4007とも周波数特性が、一致しますが、それ以外は、全く合っていません。つまり、このデーターは、B&K 4007を基準とした場合と大きく食い違っていることを意味します。
音場測定をする場合、何を基準にするかによって、大きく、表示されるデーターが変わっていきます。この例が、最も良い例ではないでしょうか?
今回の場合、このAKG C-451は、単一指向です。一般に音場調整の場合、無指向性のMicを使用します。何故なら、必要とするデーターは、SPのSystemデーター(これは、SPが、1本の場合と、3本の場合では、周波数特性が違う場合があるので、そのSPの本数にあったSP自身の特性データー)と、Room データ(ホール内の空間特性データー)です。一般には、Roomデーターを測定していると言う認識がありますが、正確には、SPのSystemデーターとRoomデーターです。
単一指向性の場合は、SPのSystemデーターは、測定できるかもしれませんが、Roomデータは、単一指向の為、正確なRoomデーターとは、言えません。
一度、機会があれば、AKG C-451のカプセルを無指向にして、測定をしてみたいと思います。また違った結果が分かるかもしれません。
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B&K 4007とAKG C-414
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Fig 3
B&K 4007とAKG C-414の比較が、Fig 3 です。
位相特性は、250Hz付近以下は、ほぼB&K 4007と一致していますが、それ以上は、1.1KHzから1.7KHzを除いて、進んでいます。これは、このMicの特性だと思います。位相を変化させることにより、そのMicの特色を出しているのです。
アナログの世界において、周波数特性と位相特性の間には、密接な関係があります。SmaartやSIMを使用して、音場調整をする場合、補正手段として、DelayやEQを用います。
現実には、EQ(周波数)補正をしているかに思いがちですが、実は、乱れた位相をEQをする事によって、位相を補正しているのです。
試しに、Smaartなどを持っていられる方は、同じ種類のEQを2台繋ぎ、1台は、Room特性用(疑似)、もう1台は、音場調整用のEQとして、結線をしてください。Room特性用(疑似)EQで、例えば、1KHzを+3dB UPしてみてください。このときの位相特性に注目してください。次に、このデーター見て、音場調整用のEQで、補正をしてみてください。(1KHzを-3dBダウン)
位相特性は、どう変化しましたか?元に戻ったと思います。同じ事が、現実のRoom特性でも言えるのです。ただ、Roomの場合には、こんなに単純ではありません。Roomの壁の影響やロケーションが、大きく作用します。ここで重要なことは、周波数補正をするのではなく、位相を補正しているのだと言うことを認識することです。
これにより、SPのマウントの重要性や、反射による(壁などからの反射による、位相の乱れ)影響の物理的な処理の重要性が、理解できると思います。
本題から、脱線しましたが、次に、Fig 3の周波数特性を見てください。
B&K 4007と較べて、5dBほどゲインが高いですが、250Hz以下では、B&K 4007と一致していまが、それ以外は、違っています。特に700Hz以上では、最大で2.6dBの違いがあります。これでは、正確なデーターとして認識する事が出来ません。
最後に、簡単な説明で、理解できない部分もあるかと思いますが、音場測定において、測定するMicの重要性やそのMicの特性を理解した上で、より正確な、音場補正をすることが、信頼性を得ることに繋がると考えます。あまりにも測定器に頼らず、自分の耳を磨くことが、信頼を得る第一歩です。あくまでも測定器は、目安と考えてください。
測定器では、音の3要素である、1.音の高さ、2.音の大きさ、3.音の音色の内、1と2は、測定できますが、3の音の音色は、難しいですね。
以前に、こんな質問がありました。
Meyerの650Rと650Pを測定したのですが、データーが同じなのに、どうして音のニュアンスが違うのでしょうか?
皆さんは、もうお分かりでしょう。
今回の測定用Micの比較は、如何でしたか?
少しは、参考になったでしょうか?(少し不安です。)
もう少し、時間があれば、いろんなMicを測定できたのですが、残念です。また、機会がありましたらレポートしようと思います。
最後まで、読んでいただいて有り難うございました。言葉足らずで、旨く解説できなくて本当に申し訳ありませんでした。
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