L-Acoustics V-DOSC System No.4
2.1 1フラットアレーと円柱状波
楔型ブラケットを使わないシンプルなスタッキング、または角度0度のアングルストラップのみを使ったフライングアレーの場合、それはフラットなアレーになります。この場合にはアレー全体が、横方向にのみ広がる単独の波を生み出す、単独の縦形でフラットな連続的同位相のリボンのように作用します。この広がる波が予想可能な距離にわたって縦形の円柱の一部を形成します。
これは円柱状波場と呼ばれています。
フレズネルの波場に関する説明によれば、この円柱状波場は音源から一定の距離まで広がり、その後初めて回折現象によって規定される”従来の”球状波場になります。円柱状波場の広がりは周波数に依存するという点に注意してください。
この広がりは以下のように表すことができます:
dborder=3/2 H2F √(1-1/3HF)2)
この場合、
H=アレーの高さ(m)
F=fx103、周波数で単位はキロヘルツ
dbordor=音源からの円柱状波場の広がり(m)
たとえば8つのエレメントで構成されるフラットなV−DOSCアレー(高さ3.6m)は、1kHzで19mの距離にわたって円柱状波場を生み出します。この距離を超えると波場は球状となり、指向性は回折の原理に従うようになります。回折の原理とは:
Dv=2 arcsin(0.6/3HF)
で、この場合Dvは縦方向のカバレッジ角度です。(単位は度)
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つまり音源から19mの所にいるリスナーに届く波は、1kHzより下の周波数は球状モードで減衰率は音源からの距離が2倍になる毎に6dB、そして1kHzよりも高いすべての周波数は円柱状モードで減衰率は距離が2倍になる毎に3dBです。これは簡単に説明することができます: 所定のエネルギーが放射された場合、サウンドの強度は波面の表面積に反比例します。
球状モードでは波面は2方向に広がり、その表面積は距離の2乗に比例します。
円柱状モードでは波面は距離とともに一方向に広がるため、減衰率は小さ<なります。
その結果離れた場所では、音のバランスはどんどんHFが強調される方へ傾きます。これはV−DOSCの大きな長所です。というのはこれによってオープンエアの環境では離れた場所での空気吸収の分を補正することができ、インドアでは反響が音のバランスに与える影響を補正することができるからです。
一般的にフラットアレーはロングスローが必要な状況、または反響の大きい部屋で使われます。
2.2 2カーブアレーと球状波
V−DOSCエレメントでカーブアレーを組むには、隣接エレメント間に楔型ブラケットを挟みながらエレメントを他のエレメントの上にスタックしていくことになります。またはアレーを飛ばす場合には、側面のアングルストラップを便って各エレメント間の角度を調整します。
2つの隣接するエレメント間の角度が5度より小さい場合には必ず、アレーはカーブした連続的放射りぼんとして作用します。放射された波は球状タイプで、その縦方向のカバレッジは曲率と高さの両方によって決まります。そしてフラウンホファーの説どおり、回折の原理に従います。
エレメント間の角度が5度を超える場合には、一定の周波数(角度によって異なります)を超えるとカップリングは有効性を失い、エレメンはバラバラに放射を行います。この場合には望ましい結果を得ることはできません。だからこそアングルストラップの最大角度は5度なのです、
V−DOSCのカーブアレーには2タイプあります: 一つは曲率が一定のもの、もう一つは曲率が可変のものです。一つ目の場合にはすべての隣接エレメント間の角度が等しく、2つ目の場合には角度はO度から5度の間で変化します。
曲率が一定のアレーでは、縦方向の指向性は論理的にはNをアレー内のエレメントの数、A(度)を各隣接エレメント間の角度として、N x A(度) です。実際には指向性はF1よりも高い周波数に関してのみコントロール可能です。F1は以下のように説明できます:
F1=444/N/sin(NA/2),単位はHz
F1においては、縦方向の指向性はアレーの名目上の値、N x Aです。それより上の周波数帯域においては、カバレッジは一般的にN x Aのほぼ2/3まで小さくなります。この値は全帯域(“ビーミング”周波数とも呼ばれる)においての最小であり、F2では名目上の値にまで増加します。F2は以下のように説明されます:
F2=1.77.105/N2/A,単位はHz
F2より高い周波数では指向性は一定しています。
たとえば8つのV-DOSCエレメントからなるカーブアレーで曲率が一定のA = 4度の場合、回折の原理にしたがって、縦方向のカバレッジはF2 =1388 Hzよりも上の帯域では一定して32度、F1 = 201 HzとF2の間ではそれよりも小さ<、F1よりも下では可変でそれよりも大きくなります。
一定曲率のアレーはもっともシンプルなデザインで、オーディエンスの幾何学的配置が分からないときによく使います。ある所定の距離において、横方向のカバレッジ角度と縦方向のカバレッジ角度(90度x NA度)によって決定されたカバレッジ(音場)内のすべての方角で、音波の強度は一定です。
つまり音圧は一番近くのオーディエンスエリアで高く、後ろの方では低いということです。 この問題はよく知られており、一般的な対処方法としてはオーディエンスエリアの一番近くと一書遠くの距離の比を最小限に抑えるために、システムを高く飛ぱすことになります。それでもしばしば満足のゆく結果が得られないことがあります。このような場合には、アレー最下部のV−DOSCエレメントにパワーを供給しているアンブのゲインを絞る方法が有効なことがあります。もう一つの(最適な)方法は可変曲率のアレーをデザインすることですが、これについては次で説明します。
今回は、V-DOSCのフラットアレーとカーブアレーについての説明ですが、かなり難しいと思いますが、何となく分って頂ければ幸いです。私も全てを理解している訳ではなく、徐々に勉強をしている最中です。もう一度V-DOSC The New Technologyを見直してください。何故、HIエンドにおいて距離が2倍に成っても減衰が-3dBなのかを少しでも理解して頂ければと思っています。(これは、SPユニット間の距離が密接に関係しています。)
次回は、波面彫刻技術について書こうと思っています。あくまでも未定です。
次回を楽しみに!!
上記の貴重な資料は、ベステックオーディオ(株)からの提供です。
より多くの人達がこのSYSTEMを理解して頂ければ幸いです。
貴重な文献に対して感謝いたします。有り難うございます。
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